トップページ » はままつ新聞 » 記者ブログ » キンカン酒の科学

記者ブログ

キンカン酒の科学

 「自宅でとれたものですが」と、浜松支局にたくさんのキンカンをいただいた。

 どう使おうか支局員と相談し、風邪にも効くとのことなのでキンカン酒を作ることにした。ホームセンターで広口瓶と焼酎を購入し、念のためインターネットで作り方を調べた。すると、どれをみても氷砂糖を入れると書いてある。左党としてはたとえ果実酒であっても甘くない方がいいのだが、と思ってさらに調べてみると、果実酒作りには思いがけない科学的な原理が応用されていることを知った。

 「浸透圧」という言葉をご存じだろうか。最近の「ゆとり教育」ではどうなっているか分からないが、私(1963年生まれ)の世代は中学校の理科で習っているはずだ。ごく大ざっぱに説明すると、細胞膜のような「半透膜」を隔てて濃度の高い溶液と低い溶液が接していると、水分だけが高い方に移動するという性質のことだ。

 果実酒を作る際には、最初は果実の内部の方が濃度が高いため焼酎がしみこむ。ある程度、氷砂糖が溶けると外側の濃度が高くなり、今度はしみこんだ焼酎が果実のエキスとともに外側に出てくるということのようだ。だから、氷砂糖なしではおいしい果実酒はできないし、粉砂糖を入れてもうまくいかないらしい。あわてて氷砂糖を買いに走った。

 知らずに便利さだけを享受しているが、実は私たちの生活のあちこちに、こうした科学の原理が隠れている。そんなことを教えてあげたら、子供たちはもっと理科が好きになるかもしれない。子供たちの理科離れを放置して「技術立国」の土台が揺らげば、日本の産業が衰退しかねないと、いつも懸念している。

 難しい話は脇に置いて、キンカン酒は1?2カ月で飲みごろになるらしい。これから寒さがピークを迎えるが、今年の冬はこれを飲んで支局一同、風邪知らずで乗り切りたい。

                                毎日新聞浜松支局・瀬上順敬









[ はままつ新聞「記者ブログ」一覧へ ]

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

ページの先頭へ