適応
昨冬、何年かぶりにコートを買ったのに一度も着ないで過ごした。浜松の冬があまり寒く感じなかったからだ。
それが、今年はもう4、5回は着た。「厳冬」と言われてはいないようなので、恐らく2シーズン前の冬は青森市で過ごしたことと無関係ではないと思う。
青森は人口30万人規模の都市としては世界一、雪が積もる都市だ。気温が驚くほど下がることは少ないが、真冬なら日中も氷点下のことが多い。
午前中のデスクワークを終え、夕刊の締め切りが過ぎたころ食事に出ると、中心街の温度計は氷点下2、3度のことが多かった。たまにプラス2度くらいのことがあると「今日は暖かいな」と感じた。それまで東京より北に住んだことがなかったので「人間とは環境に適応するものだな」と思った。
南に来れば南に適応する。浜松で一冬越えれば、元のように南の冬は南なりに寒く感じるのは当然かもしれない。
世の中、自分が気づかないうちに何かに適応しているということは常にありうる。それがマイナスになることもあるだろう。忙しくても自分を見つめる余裕は失わないようにしたい。
毎日新聞浜松支局・市村一夫
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