トップページ » 特集 » メルヘンとバラードの伝説 遠州七不思議、浜松版

特集

メルヘンとバラードの伝説 遠州七不思議、浜松版

遠い昔に聞いた話、かすかな記憶に残る話…。
喧噪なる日々の暮らしの中で、忘れかけていた浜松に伝わる不思議なお話を今一度思い出してみましょう。

その名も「遠州七不思議」。 今回の特集では、私たちの地元浜松市に伝わる不思議を、「もっとい〜ら」では語り継がれる伝説を紹介します。

遠州七不思議は、日本三大不思議のひとつ

越後、信州、そして遠州七不思議が日本三大不思議といわれています。
親鸞聖人が越後に流罪になり、布教行脚で各地に残した数々の不思議が越後七不思議、「綺麗な水が流れる土地なのに顔を洗わない」「お茶の木がない土地なのにお茶を飲む人が多い」など、気質を表した伝説が信州七不思議です。

一方、「遠州七不思議」は、自然現象の中に不思議を感じメルヘンやバラードにして言い伝えられているのが特徴です。

その1. 遠州灘の波の音(浜松市南区中田島町)

波濤逆巻く「荒い海」、遠州灘の“海鳴り”の伝説です。
御前崎町から新居町に至る一帯は、天気の変わり目に「ゴォー」「ザァー」と、一段と高い不思議な海鳴りが聞こえています。

その音は「波小僧」と呼ばれ、漁師たちの間に語り継がれてきました。
「網に掛かった『小僧』を助けたところ、音で嵐を知らせてくれるようになった」。波の音が聞こえる方角や音の高低で天気を知らせ、「南東に聞こえると雨、真東なら嵐、西なら晴れる」。
この海鳴りは、海からずっと離れた内陸部、夜のしじまには北遠州の山々の麓までも聞こえたといわれています。

遠州灘の波は日本の音風景100選

地域のシンボルとして「大切に将来に残したい」と願い、特に意義がある「音」と認められた、環境庁の「残したい日本の音風景100選」のひとつに、この遠州灘一帯の波の音が選ばれています。
耳を澄ませてみて下さい。

聞こえる場所

浜松市の中田島砂丘を始め、浜岡町の浜岡砂丘、大東町の千浜砂丘、竜洋町の竜洋海洋公園、舞阪町の表浜東駐車場、浜名湖弁天島など。時期を問わず、天候の変わり目には良く聞こえます。

その2. 池の平の幻の池(浜松市天竜区水窪町)

普段は一滴も水のない標高800mの山頂に、7年に一度突然水が湧き出るという幻の池。
澄み渡った水は木漏れ日に光り輝き約1週間。その後はどこへともなく水は引く。

山の頂という地形的に不可解な点や、数年に一回という回数、また日照り続きの夏の頃に限るという条件が、神秘現象と言われています。

近年では、平成元年。そして7年後の平成8年は残念ながら湧かず、翌年も…。
9年目を迎えた平成10年10月2日午後2時、ついに確認。東西約50m、南北約30m、最深は1m以上にもなりました。前回が9年間隔となったので、次は平成19年、8〜10月の頃とも言われています。

つまり今年!?もしや今日あたり??

幻の池は誰が見つける?

後河内川から佐久間ダム上流へ続く「池の平ハイキングコース」。池の場所は、1.5〜2時間程登った、コースより少し入る私有地です。
前回の出現から7年目に当たる平成17年にはカメラを取り付けて、その時に備えましたが確認されず。以来カメラは設置されていません。

偶然通りかかった人が見つけ、地域振興課に連絡が入り、皆で見に行く。その時は、町をあげての賑わいに…。今年は、幻の池出現の可能性が非常に高く、今やテレビ局や新聞社からの問い合わせも多いようです。

問い合わせ先/浜松市水窪地域自治センター地域振興課(TEL / 053-982-0001)

その3. 京丸牡丹(浜松市天竜区春野町)

現在の京丸は、定住する人がいない地域であり、代々この地区の中心だった藤原本家の旧家屋と阿弥陀堂が残されているだけです。その昔、源氏との戦いに敗れた平家の人々が都から落ち延びて暮らした場所であるとも考えられています。

京丸と谷を挟んで南に位置する岩岳山の北側の、人も鳥獣をも寄せつけぬ断崖絶壁には、唐傘大の牡丹の花が60年に一度咲くといわれ、見つけることが難しく、幻の花と呼ばれています。

京丸牡丹はヤシオツツジ?

昭和45年、静岡大学農学部の斉藤助教授(当時)ら京丸牡丹調査団が植生調査を行いました。
牡丹は見つけられませんでしたが、アカヤシオ、シロヤシオツツジの大群落の実態が明らかに。そして4年後にはヤシオツツジは国の天然記念物に指定されました。

岩岳山に咲く群生を大きな牡丹と見間違えたのではないか、大木となるツツジの珍しさを伝説に残したのではないか、とも言われています。
京丸の里、南東に岩岳山(1369m)。山腹には、4月下旬〜5月中旬にかけて3000本以上のヤシオが赤色、続いて白色へと盛期になり、見事な景観を呈します。

初夏の岩岳山ハイキング。

車でログペンション「シンフォニー」(春野町石切)まで移動し、「シンフォニー」から登山口までは約4キロ、徒歩1時間。
そして登山口から岩岳山群生地までは4時間、往復8時間のハイキングコースとなります。

アカヤシオツツジは4月下旬〜5月上旬、シロヤシオツツジは5月上旬〜5月中旬が見頃となります。
(10時前の入山とし、午後からの入山は禁止しております)。

お問合せ先/天竜商工会春野町観光協会(TEL / 053-983-0066)

その4. 片葉の葦(浜松市南区頭陀寺町)

葦は、稲科の植物で古代から日本の周辺にはたくさん自生し、この葦の若芽は食用に、茎葉は屋根にふいたり簀子に編んだりする材料になっていました。
雑草としての強さ、生命力をみるのでなく、その形、表面上のか弱さを捉え、風にそよぐ葦に「物悲しさ」「かよわさ」「せつない思い」が伝えられています。もともとは茎の両側に互い違いについているはずの葉が、片方ばかりに寄っているので、不思議な「片葉の葦」と言われています。

豊臣秀吉伝説

浜松市南区頭陀寺町、その北のはずれ、住宅街の中に天白神社とよばれる小さな社があり、その境内にある、今は枯れただ円形の「鎌研池」。ここは、秀吉伝説の残る池です。

この辺りの葦は片葉だったと伝えられ、今でも境内には僅少ですが「片葉の葦」をみます。
天文20年(1551年)から2〜3年、秀吉がこの地にいたというのは確実な史実。
天白神社の近くの「頭陀寺小公園」の一角には「松下嘉平次屋敷跡」と刻まれた石碑が立ち、秀吉が日吉丸と呼ばれていた少年時代に一所懸命奉公していたところなのです。

他、浜松市内で「片葉の葦」の自生している所

  • 浜松市中区東伊場 : 賀茂神社の境内
  • 浜松市西区入野町 : 佐鳴湖の岸辺
  • 浜松市中区鴨江 : 鴨江観音境内の池のほとり
  • 浜松市北区細江町 : 都田川流域、浜名湖引佐細江支湖流域
  • 浜松市南区江之島町 : 中田島海岸と天竜川の河口の中間地点

なぜ「七」?

「七」には、その数を指すものもあれば、数にこだわらないものもあります。
では、どんな意味があるのでしょう。

  1. 記憶に残る数。心理学者ミラーは「マジカルナンバー7±2」の論文の中で「一度聞いただけで再生できるのは7個前後。物事を要約する際に落ち着く数字だ」と説いています。
  2. 多さ。大きなお寺にある七堂伽藍(しちどうがらん)。これは、山門、本堂、講堂、食堂、浴室など諸設備がすべて揃っている多さ。つまり仏教では「数が多い」ことを表しています。

「越後」「信州」はそれぞれに40説、「遠州」には100近くの伝説があるといわれています。
「七不思議」には、後世に言い伝える「覚えやすさ」と「たくさんの不思議がある」ことを「七」と表現しているようです。

取材協力

今回は加藤鎮毅さん、及び浜松市天竜商工会春野支所、浜松市水窪地域自治センター地域振興課の皆さんにご協力を頂きました。ありがとうございました。

写真:加藤鎮毅さん

加藤鎮毅さん

浜松市曳馬町在住、日本戦国史研究家 民俗学作家の御手洗清氏が叔父にあたり共に研究を重ね、遠州に対する造詣が深い。主著は「あの町この町」「ひくまに恋して」「花と女性と家康公」「遠州七不思議の旅」。

参考文献 /
「遠州七不思議の旅」 加藤鎮毅 著
(株)講談社サービスセンター 刊  定価 1,600円(税別)

ページの先頭へ

特集バックナンバー

  • アウンズ・ヤナギハラのフェイスブックページをチェック
  • アウンズ・ヤナギハラについて
  • 新聞ご購読
  • 求人情報
  • からだにおいしい知久屋の夕食宅配
  • 森永浜松ミルク
  • 仲間・思い出を作ろう!エムズ倶楽部
  • きたえる〜む
  • 柳原社長のfacebook